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2014年7月23日水曜日

2014 全日本MTB選手権大会 メカニック風間レースレポート。

皆様たくさんの応援、サポート本当にありがとうございました。
無事、メカニック、サポートスタッフとしてのミッションを終え、つくばで通常業務に戻っております。
今回のレース、選手二人はもちろんのこと、私にとってこれまでの人生の中でも、
最も大きな責任、プレッシャー、そして感動を覚えたレースとなりました。

昨年の同大会。レースメカニックというものがなんなのか、
武井きょうすけ選手、與那嶺恵理選手の二名がどういう選手なのか。
それを全く理解していなかった私は、なんだか自分が何をしに来たのかもわからないまま、
二名の選手に本来のパフォーマンスを発揮させるどころか、その障害となってしまいました。

あれから一年。LEADVILLE100MILEレース、BRECK EPICで戦う武井選手をみて、
そのパフォーマンスがアメリカというマウンテンバイクの本場で、トップ選手相手に通用すること、
最後まで走り切ることが出来れば、どんな相手にだって勝てる選手であることを、
その目に焼き付けました。

そして、6月の全日本ロードでの二人のパフォーマンスを見て、
新井店長のレースレポートを見て、心が震えました。
そこには本気の人だけしかいなくて。後一ヶ月後、ここに自分がいるのかと思うと、
昨年のトラウマ、そして今年こそは最高のバイクで、最高のパフォーマンスを発揮してもらうんだ。
という思いが胸に渦巻いて、オエッと胃酸がこみ上げてくる毎日でした。

全日本ロード後は、二人共MTBのトレーニングにすぐにシフトしました。
私のミッションは、通常業務を行いつつ、
ほぼ毎日泥だらけになったMTB2台を洗車、整備し、翌日完璧な状態で練習にのぞんで頂くこと。

もちろん、私の時間には限りがあって、全てを100%で行うことは難しく、
それは理解していたはずなのに、全てをなんとか上手くやろうとして、スケジュールが破綻。
FORZA代表でもある武井選手に厳しく指導されることもありました。

「何のために今回のレースに臨むのか。」

本気でそれを考えた時に、
自分が今すべきことは「選手のバイクを常に完璧に仕上げること」に変わりました。
レース前の2週間は正直お店にいるだけで、朝から晩まで二人のバイクのメンテを行いつつ、
お客様からオーダーいただいているバイクを納期通りにお渡しすることに集中し、
新井店長、東さんには日常の業務の中で大きく助けられました。本当に有難うございます。

日々BOSSから伝えられるミッションと、洗車。洗車。洗車。
そしてとうとう全日本MTB会場である、修善寺サイクルスポーツセンターへ。
満載の機材車と岡本選手と共にCSCに向かいます。

会場に着いてからは、荷物の移動、機材のチェック、試走を終えて戻ってきたバイクの洗車、
整備、そして翌日のミーティング。と、正直キャパの少ない私にはあまり余裕はありません。
ただ、今回は武井選手の並々ならぬ気合だけは伝わってきました。気が立っているというのか。
LEAD VILLEやBRECK EPICでサウザーや、アルバン、トッドウェルズと戦った時でさえ、
「ENJOY!」というリラックスムードが漂っていましたが、今回のBOSSには「勝利」の二文字しか、
無かったのだと思います。幸平選手が本調子であるとか無いとかいうよりも、
自分の状態が、絶対的な王者である幸平選手と戦える状態にあることを実感して、
日に日に気合と、勝ちへの意識が高まっていくのを感じました。

レース前、この状態になると、メカニックである私としては理不尽に感じる事も多々出てきます。
受けていた指示が急遽真逆に変更されたり、あれ?と思うこともあるのですが、
私の仕事はとにかく選手に安心してもらうこと。一切の不安なくスタートラインに立ってもらうこと。
それをこの一年で学びました。
伝えられた指示は正確に、スピーディに行います。(それでも要領が悪いので、時々叱られます。。。)

前日の試走も無事終了し、ホテルの洗車場をお借りし、3名の選手のバイクを仕上げ。
各部の最終チェックを行います。緩んでいるところはないか?破損箇所はないか?
とにかく泥や埃で機材が汚れるMTB。洗車を怠ると、不安材料見逃すことになります。

武井選手の新品のチェーンが3回ほどの走行で変形していたのには驚きでした。。。
変形していたにも関わらず、走行には影響なし。
私がコレに気づいていなかったら。。。そう考えるとゾッとします。。。

無事にバイクの整備を終え応援に駆けつけてくださったK谷さんS木さんと合流し、
皆で晩御飯。。。。とはいかず、私はホテルに残り、スーパーで買ったパンで空腹を満たし、
日が暮れるギリギリまで作業を行います。翌日に備え、早めに就寝し、
いよいよレース当日。

4:30起床。。レースまではまだ6時間以上ありますが、
既に緊張の限界で朝食は喉を通りません。しかし、睡眠はバッチリ取れる自分のタフさに感謝。
ウィダーでエネルギー補給し、レースの準備を行います
9時30分。マスターズクラスにはT樫さんとS野さんの二名が出場中。
「頑張れ。」と心のなかでつぶやき、最後の作業。

私は11時に出走するエリ選手の出走準備をお手伝いし、すぐにフィードゾーンへ機材を運びます。
今回は会場まで車が入れないとのことで、
応援に駆けつけてくれたお客様に協力いただき機材を運びます。
K谷さん、M角さんのお二人には移動からフィードでもに助けられっぱなしでした。
本当にありがとうございます。、
私は出走前の万一のトラブルに備え、スペアホイールと工具BOXを抱え、スタートライン脇に移動。
BOSSからはエリ選手に対する様々な指示が飛びます。レース展開、補給、フィード、
私はできる事は全てやりきりました。気合の入ったエリ選手の顔を見て、既に胸に熱いものが込み上げてきましたが、グッとこらえます。そして新井店長直伝

「よろしくお願いします。」
この言葉をバイクにかけてスタートラインに送り出します。

カウントダウンが始まりいよいよレーススタート!
エリ選手の姿が見えなくなるまでトラブル無く走り終えたことを確認し、
すぐにフィードゾーンへ。
フィードには既に心強い味方、I岡様親子の姿。
未来のスーパーライダーの手にはタイム差を告げるホワイトボードが。
ありがとう。とても心強かった。
レースは序盤で付けた差を徐々に広げながら、
エリ選手独走。危なげない走りで周回を重ねていきます。
当初の予報とは異なり、天気はどんどん回復。気温は上昇。
私とM角さんが、かけ水とドリンクをフィードします。
K谷さんはBOSSから飛ぶ無線の指示が聞き取れない私の代わりに、何度も何度もフィードとBOSSの間を往復。S木さん、I出さん、I川さんはコースから一眼レフでエリ選手の勇姿を収め続けてくれます。
レースの終了したS野さん、T樫さん、エリート出走を控えた岡本選手も応援に駆けつけてくれます。
今日ほどお客様の存在が心強かった事はありませんでした。本当に感謝しております。
ありがとうございます。私一人ではここまで完璧なサポートは出来なかったと思います。
今このブログを書いていてもウルッときてしまいます。
最終の6周回。最後のフィードを無事に終え、エリ選手の勝利を確信した私は、
すぐに次のレースに備えます。会場ではエリ選手優勝のアナウンスが流れ、
フィードを終えたお客さんもゴール地点へ向かいます。すぐにゴールに駆けつけて、
勝利を喜びたいところですが、武井選手とエリ選手はスペアのホイール等共有しているので、
すぐに次のレースに備え、スペアホイールのセッティングを変更。

工具、ホイールの準備を終え、すぐにスタート地点へ向かいます。
私にとって最大のミッションです。前述しておりますが、
今回の武井選手の気合は以前とは比べ物にならないものを感じておりました。
以前は世界のトップで走る幸平選手にどれだけ食らいつけるか。
それを楽しみにされている節も有りましたが、今回は全日本チャンプになるために、ここに来ました。
レース前何度も「最後まで走らせてくれよ。」
「残り少ない競技人生で幸平と戦って勝てるチャンスはもう二度と無いかもしれない。頼んだぞ。」と。
ハンドルバーにはこんなものも。エリ選手はBOSSには似合わないとカラカラ笑っておりましたが、「のこりわずか」「勝って泣こう」思いの強さがヒシヒシと伝わってきます。

社長。大丈夫です。バイクは私が完璧に仕上げました。
最高のサポート、応援団も一緒です。勝ちましょう。

そしてレース直前のバイクに「よろしくお願いします。」と小さく声をかけて、
昨年と同じスタートラインに足を運びます。国内レースは全日本が初戦となる武井選手。
もちろん最後尾付近からのスタートとなります。

コース幅があまり大きくないXCOにおいて、
スタートというのは最も大事な瞬間だと思います。いくら走力やスキルがあっても、
狭いシングルトラックで前が詰まってしまえば、先頭を行く幸平選手からは大きく出遅れてしまいます。
それこそ。1分。2分のロスもあり得るかもしれません。
いくらエリートのレースとはいえ、スタート直後の落車も有るかもしれません。
最後尾からのスタートは選手にとって大きなハンデとなってしまいます。
普通は不安にかられるところですが、私はそれに関しては安心していました。

カウントダウンが始まり、会場は静寂に包まれ、号砲とともに選手が一斉にスタートダッシュをかけます。
「よっしゃぁぁ!いけぇぇぇ!!」と声を出して武井選手を送り出します。急いでフィードへ。
男子のXCOは例年異常な程のハイペースで展開します。
そのため、ちんたらしているとフィードが間に合いません。
息を切らしフィードに到着。するとすぐに九十九折を駆け抜けてくる選手の姿が。
例年ここで姿を見せるのは幸平選手。すでに後続との差を広げ、そのままブッチギリでゴール。
そんな展開を何度も目にしてきました。この日はMERIDAの小野寺選手が先頭、
幸平選手がそれに続きます。斉藤選手、平野選手、、国内トップの選手がそれに続き、
ここに武井選手の姿も。
観客は「え??武井さん最後尾スターとじゃなかった?」「ワープした??」と驚きの声も聞こえてきます。

どうやっているのかは謎ですが、昨年も同様後方スタートで、1周回で数十人をゴボウ抜きにし、
一気にトップ集団に食い込んでいたので、今回も同様の展開は予想していましたが、
流石です。。。そして、2周回目には先頭でフィード前を駆け抜ける武井選手の姿が!

全身に鳥肌が立ちました。全日本選手権で幸平選手を引き離してトップを快走する武井選手。
本当凄いよ。カッコイイよ。BOSS。
30秒ほどの差をキープしながら、あっという間に周回を重ねていきます。
周りからはオーバーペースとの声も聞こえてきましたが、
フィードの際に苦しそうな表情は一切見て取れなかったので、
恐らくこのままゴールを狙うのだろう。そう思いました。
既にレースはこの二人が優勝を争う形に。
最初は苦しそうな表情を見せていた幸平選手も徐々に落ち着きを取り戻し、
武井選手との差をジリジリ詰めてきます。
6周回目でその差は5秒。すぐ後ろに幸平選手の姿が。くそ~やっぱり強い!!
最終週回にはとうとう幸平選手が先頭に返り咲き、会場も優勝はやっぱり幸平選手だな。
そんな雰囲気が漂い始めました。
しかし、この日は違いました。
幸平選手の後ろにピッタリ付く武井選手。フィードゾーンを通り過ぎる際に
このパフォーマンス。
私は正直言うと、この瞬間にもうダメなのか?いけるのか??どっちなんだ???半信半疑。
逃げる予定で最終週回で追いつかれ、抜き返されるという状況の中。
武井選手の性格上、観客の前で苦悶の表情を浮かべてズルズル落ちていくことは絶対にないでしょうから、強がりで、会場を盛り上げるパフォーマンスをしたのか?
それとも、「俺、勝っちゃうよ?見とけよ?」のパフォーマンスだったのか。
それはゴール直前。最後のフィードに現れた選手を見れば誰もが分かったでしょう。
来た!!BOSSだ!!!やった!!!優勝だ!!!!!
後ろからは幸平選手の姿が見えましたが、既に最後のバトルを終え、
もう一度アタックを掛ける余力は残っていないように見えました。
自然と涙がこぼれます。うぉぉぉ!すげぇぇぇ!勝ったよぉぉぉ!

場内のアナウンスに耳を傾け、「武井選手優勝!!」その声が聞こえた瞬間、
最後までフィードで戦い続けてくれたK谷さん、I岡さんと抱き合い三人で男泣き。
私、人の目とかすごく気になるタイプなんですが、そんなの関係無いよね。最高だもん。
文句なしに人生で最高の瞬間でした。
全身全霊、本気で取り組んだ事が最高の形で報われた瞬間。BOSS、本当に有難う。
フィードを片付け、重い荷物を運び、10分後にようやく会場へ。
ゴールの瞬間は見れなかったけど、私も一緒にゴールしてたので、よしとしましょう。
エリ選手とも合流し、「風間さんやりましたね!!」と満面の笑み。
やめてくれ。また泣いてしまうじゃないか。
最高の選手。最高の仲間。最高の機材。最高の笑顔。
最高の全日本選手権。ありがとうございました。

私はこのブログを書きながらいまだに余韻に浸っておりますが、
武井選手はLEADVILLE100MILEに向け、エリ選手は東京オリンピックに向け、
既に未来に目を向けて戦っております。
私も二人に負けないように前を向いて進んでいかねば!!
これからも武井選手、エリ選手を、BIKE SHOP FORZAを。
愛すべきマナオの応援をよろしくお願いいたします。

今回の全日本選手権に関わってくださった全ての方にありがとうございます。

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